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【再エネもどき!?】バイオマス発電は本当に再エネなのか??

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皆様、こんにちは。今回は再生可能エネルギーの一つバイオマス発電について調べてみました。クリーンなイメージがあるバイオマス発電ですが実はそうではないかもしれないということが分かりました。ぜひ最後までご覧ください。前回の記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 


概要

バイオマス発電のバイオマス生態学という意味や動植物などから生まれた生物資源の総称という意味で用いられます。つまりそれらを使って電気を起こす発電形態のものをバイオマス発電と呼びます。

電気の起こし方としては、バイオマス燃料を燃焼してエネルギーを得る「直接燃焼」や家畜の糞尿などを「ガス化」してエネルギーを得る方法があります。バイオマス発電の分類には資源エネルギー庁が公開している以下の方法が見受けられます⬇

資源エネルギー庁HP

林地残材、家畜排泄物、建築廃材、食品加工廃棄物などなど、どれも普通なら捨てて燃やしてしまう所を、バイオマス発電の燃料として使うことでこれらが循環して持続可能な社会を作ると考えられています。

メリット

上記の通り既にある程度バイオマス発電のメリットなどは分かっていると思いますが、整理してまとめたいと思います。

安定性がある

以前見てきた再生可能エネルギー太陽光発電風力発電では、太陽や風といった天候に左右され、発電に対する一定の安定性は見言い出すことができないと結論づけました。

 

kuborichan.hatenablog.com

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しかし、バイオマス発電はこういった天候には左右されず、毎日廃棄されていたような糞尿や木材の端材が資源なので燃料供給の面では安定しており、故に安定した発電が可能となります。また、捨てられるものがエネルギー源になっていることもメリットであり、まさに一石二鳥なのです。

 

二酸化炭素の排出が実質ゼロになる

メリットとしてはやはり、温室効果ガスである二酸化炭素を実質排出ゼロニできることです。実質ゼロというのはどういうことか?
バイオマス発電はクリーンなエネルギーだと思われていますが、実は発電する時には二酸化炭素を排出しています。これでは火力発電と同じになってしまいますが、違う点は木質ペレットなど植物を燃焼している点です。

植物は成長段階で二酸化炭素を吸って酸素を出す光合成を行います。成長過程で多量の二酸化炭素を吸収しているので、木質ペレットを燃やして二酸化炭素が出たとしても、総量としては変わらず実質ゼロというのです。

こういった理論に基づきバイオマス発電は再生可能エネルギーとして位置づけられ、「京都議定書」では、CO2を排出しないものとされています。

デメリット

コスト

デメリットとして最初に挙げられるのは、コストの問題です。
材木や、食品加工廃棄物、家畜の糞尿など、資源が広い地域に分散しているため、収集・運搬・管理にコストがかかる小規模分散型の設備になりがちという課題があります。

バイオマス燃料を輸入に頼る(2022.2.9日経新聞

コストの問題とも絡みますが、日本ではバイオマス発電がかなり普及したおかげで、日本国内の建築端材や、間伐材ではまかないきれなくなりました。
すると、どこから木質ペレットなどの燃料を調達してくるかと言うと外国です。

日本はベトナムとカナダ、アメリカなどの北米から主に木質ペレットを輸入しています。輸入するとどういうことが起きるかと言うと、発電材料確保のために森林を伐採するのでまず環境破壊が起こります。

環境破壊が起きるだけでなく、大型の機械で伐採する時や大型コンテナ船で輸送をする時に発生するCO2が大量に発生しています。木材を燃やしたときに発生するCO2は相殺できますが、輸送時に発生するCO2は回収できないのでむしろCO2を多く発生させていることになります。

食品価格への影響も

バイオマス発電では木質ペレットだけでなくトウモロコシなどの食材もバイオマス発電に使用されます。
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過剰にトウモロコシがバイオ燃料に使用されれば、私達が食べるはずだった量が失われ、需給が逼迫します。
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そうなると価格に転嫁せざるを得なくなり、値上げが生じ、私達の生活に悪影響をもたらします。

森林破壊とCO2排出

また、バイオ燃料はHEFA(水素化処理エステル脂肪酸)というバイオジェット燃料としても使用が期待されおり、そこにはパーム油が使われます。
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東南アジアや南米ではパーム油を多く製造するために、大規模農園を作ろうと考えます。
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熱帯雨林を伐採してパーム油の大規模農園を作ろうとします。
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全部伐採するのは時間とコストが掛かるので火をつけて熱帯雨林を焼き払ったあとにパーム油の農園を作り始めるという、CO2排出しまくりな悪循環が現時点でも行われています。

パーム油は、現時点で製造されている量の1.5倍も作らないとバイオジェット燃料を賄うことができません。
従って熱帯雨林を伐採しないとなるとパーム油の取り合いが全世界で起きることが予想され油の需要が高まります。
最近日本でも食用油の値上がりや、ポテトチップスの値上がりがあり、私達生活にも密接に関わっている問題となっています。

バイオマス発電に対する批評

今まで話してきたことを踏まえると、本当にバイオマス発電は再生可能エネルギーとしての地位を維持できるのでしょうか?

JRCというEU欧州委員会の委託を受けた調査センターがありますが彼らは

木質バイオマスはほとんどの場合、化石燃料よりCO2をたくさん出す

2021.12.29 日経電子版

と決定づけました。EUは世界に先駆けてバイオマス発電分野で先行していただけに、自らの政策とは真反対の結論を出し話題を呼びました。

またノルウェーのあるNGO団体はバイオマス燃料について

慎重にやらないと熱帯雨林破壊をもたらす

2021.12.29 日経新聞

と発言しました。これはさきほどのパーム油についての言及です。

他にはカナダの西部ブリティッシュコロンビア州バイオマス発電を巡り対立が起きた際、

木質ペレット化石燃料の代替品だという根拠は乏しい。森林はCO2の吸収源である

2022.1.9 日経新聞

と発言し、森林保護を訴えました。このような反対運動はオランダでも起きていますし、もちろん日本でもバイオマス発電施設の建設拒否運動が起きています。

バイオマス発電に対する企業の取り組み

あまり良くない面ばかり触れてきたが、もちろんCO2を排出しないよう努力している企業も多い。

日本製紙東芝三菱重工業

2022.2.5付の日経新聞によると日本製紙バイオマス発電を使ってCO2を回収する技術を実証実験するとのことです。

一般にバイオマス発電を使うとCO2の増減は0だが、実際にはCO2は排出されているので、その排出されているCO2を特殊な技術で回収して貯蔵する。
そうすることでむしろCO2の排出はマイナスとなり、これをネガティブエミッションとして導入する。

日本製紙とタクマが手を組み、勇払バイオマスという北海道の発電所に来年導入する予定だそうです。
このようなCO2排出を減らす取り組みのことをBECCS(ベックス)と呼び、日本では東芝が福岡県で既に実装済みだそうです。三菱重工業もイギリスのバイオマス発電会社に回収技術を供与しているとのことです。

富士宮市

静岡県にある富士宮市は、以下の8つの団体とバイオマス分野で協力する提携を発表しました。

富士宮市と、民間企業、金融機関など「産官金」の連携により、牛の糞尿を使ったバイオマス発電の実用化を進めていくようです。
また、牛舎や住宅、農地に太陽光パネルを設置する計画もあるようで再エネに力を入れています。

まとめ

今回はバイオマス発電について調べてみましたが、かなり意外なことばかりでした。比較的グリーンなエネルギーだと思っていましたが、そもそもCO2は排出されているし、一応排出は相殺されるという考え方のもと、成り立っている発電方法でした。

メリットよりもデメリットの方が多くなってしまい、バイオマス発電を起こせば起こすほど環境破壊やCO2の排出がされるという現実があり非常に難しい問題だと思いました。ただ、それらを解決する糸口のようなものは日本でも少しづつ実装されてきていました。

ブログ内では取り上げませんでしたが、関西電力バイオマス燃料をハイブリッド船で輸送する取り組みをしており、輸送時のCO2排出を抑制しようとしています。

今後北米からの木質ペレットが輸送されるときもハイブリッド船や電気で動く船で輸送されれば化石燃料も使用されずにクリーンなエネルギーに変化していくと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です! 

 

 

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