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【火力発電は悪者!?】火力発電の未来はどうなる?

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皆様、こんにちは。今回は火力発電や事業者の今後の脱炭素戦略などを中心に見ていこうと思います。昔から今まで日本の電力の大部分を占めてきた火力発電が脱炭素の潮流から変化の岐路に立たされています。これからどんなふうに経営してくのかを調べてみました。
前回の水力発電についての記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 

火力発電とは

火力発電は石油、石炭、LNG液化天然ガス)などの化石燃料を燃料として火を起こし、その熱で水を熱して水蒸気を発生させます。発生した水蒸気の力でタービンを回すことで発電されています。
ヤカンの先から勢いよく出てきた水蒸気が風車を回すイメージで、分かりやすいイメージ図がありました。コンロの火を起こすのに化石燃料が使われるということです。⬇

電気事業連合会HP

この水蒸気でタービンを回す方法を汽力発電といいます。
またこの他にもガスタービン発電という水蒸気で回すのではなく、燃焼したときに発生するガスの勢いを使ってタービンを回す方法があります。ガスタービンに使われるのは石炭や石油ではなく、天然ガスや灯油が使われることが多いです。

 

そしてこの蒸気とガスを合体させたような発電方法があります。
それをコンバインドサイクル発電といい、まず最初に化石燃料を燃焼してガスタービン方式で発電します。発生したガスはガスタービンを回したあと、排ガスとなり普通使われませんが、実はまだ余熱が十分にあるため、水を沸騰させることができます。
そのことで水蒸気が発生し、今度は汽力発電としてタービンを回します。
このようにして少ない燃料で2回分の発電ができるという画期的な方法なのです。

火力発電のメリットとデメリット

メリット

火力発電のメリットは以下の2つです。

  • 安定して発電できる

  • エネルギー変換効率が高い

一つ目はやはり安定して発電できるとこですね。

太陽光、風力発電といった自然エネルギーを使って発電すると、燃料が供給されない時間帯が出てきます。しかし火力発電では燃料を常に枯渇させないように輸入しており、発電したい時に発電できる環境が現在では整っています。また、電力需要の増減に応じて発電をすることが可能であり、電力不足を引き起こしにくいです。

東日本大地震発生後、全国の原子力発電所が停止し電力不足が懸念されましたが、それを補ったのが火力発電でした。

燃料供給の面でも安定しており、原子力発電で使用するウラン燃料といった放射性物質の危険物質ではないため、取り扱いやすいです。

二つ目は、エネルギー変換効率が高いことです。

前回の水力発電は8割の変換効率でかなり高いですが、水力発電の次に火力発電は変換効率が高いです。35~55%の発電効率で、液化天然ガスが一番高いです。

一番低いと35%ですが35%といえど、原子力発電の33%、風力発電の25%よりもはるかに上回ります。

デメリット

  • 有限な燃料

デメリット一つ目は周知の通り温室効果ガスを発生させることです。化石燃料を燃焼させると二酸化炭素が発生し、地球温暖化を加速させます。

近年、液化天然ガスが多く使われるようになったのは、石油や石炭を燃焼した時に比べ、二酸化炭素を排出する量が少ないからです。しかし、二酸化炭素液化天然ガスも発生させるので現在の脱炭素の動きには逆行します。

二つ目は、資源は有限であるということです。

石油、石炭などは化石燃料と呼ばれますが、なぜ化石という名前なのか。石油はかつて生きていたプランクトンが高圧にさらされて変化したもので、石炭は数百年万前に自生していた植物が地中に埋没して炭になったもの、天然ガスは古代の動植物の死骸が土の中に堆積したものです。

このようにかつて地球上に存在し、生きていた動植物が由来となっています。過去の動植物から取れる資源は当然有限ですし、今の化石燃料の消費量をしていると近い将来必ず枯渇します。

持続可能な社会を実現し、次の世代も安心して生きていけるような地球環境を維持するために脱炭素を推進しているというわけです。ゆえに、再生可能エネルギー化石燃料のように有限ではなく無限に近い太陽光や風力、地熱といったものが選ばれています。

 

 

 

JERA

続いて火力発電事業を営んでいる個別企業についてまとめていきます。最初はJERAです。JERAは国内の火力発電の半分を占める発電事業者で、世界最大級の発電事業者です。国内には26箇所に火力発電所が多く、冷却用の水を確保するために海沿いに多いです。

JERA 火力発電所 分布図

現在のJERAでは少しでもCO2排出を減らすために天然ガスの利用を拡大させています。実に71%が天然ガスで、あとは石油14%、石炭15%という具合です。
また、2028年度までに石炭火力の発電においても、アンモニアを混ぜて燃やす量を現状の2割から5割にすると表明しています。アンモニアは燃やしてもCO2 が出ないため注目されているので石炭火力に混ぜてよりCO2排出を逓減
させたい考えです。

JERAのHP 電源構成

現在ではLNG液化天然ガス)の生産や、オーストラリア・アメリカでの拠点の開発を中心に行っていますが、今後の事業については再エネを事業の中心に据え、最初のうちは洋上風力発電に取り組むそうです。詳しくは以下の通りと表明しています。

技術革新により、有力な発電オプションとなった蓄電池を含む再生可能エネルギーを今後のコア事業の一つと位置付け。 再生可能エネルギー事業において先進的な海外の国や地域での案件開発・運用を通じて経験を積むとともに、国内にも知見を還元。当社の強みである大規模開発能力を活用できる洋上風力などを中心に、開発を促進します。

https://www.jera.co.jp/business/projects

総合商社

次に総合商社です。本来商社のビジネスモデルは、二者間の仲介として利ざやを取るモデルでしたが、バブル崩壊後このモデルだけでは限界も来たので、多くの事業に手を伸ばしました。その一つが資源供給です。

伊藤忠商事は火力発電にも手を出していましたが、インドネシアでの事業も売却をして撤退し、今度は製造過程でCO2を排出しないグリーンアンモニアの開発をノルウェーの企業と手を組みます。
三菱商事も、風力発電のときのnoteブログでも紹介したように洋上風力発電の開発コンペに勝利し、クリーンエネルギーへの投資を活発化させます。

丸紅に関しては非常にはっきりしており、石炭火力発電へは今後一切取り組まないことを明言しています。そして現在稼働している火力発電も2050年には0にすると言っています。

石炭火力発電事業及び再生可能エネルギー発電事業に関わる方針

大手商社は足並みをそろえて脱炭素に転換し、火力発電から撤退しようとしています。ただ、現状の決済資料を見る限り、三菱商事三井物産伊藤忠商事などは2021年度連結業績で8000億円を突破する模様です。
要因としては原油やガスの相場上昇で売上が伸び、液化天然ガスの需要拡大で決算は好調でした。
資源高の恩恵を受けらなくなったときに、脱炭素に向けたビジネスモデルの構築が終わっていれば同じような決算が望めるのではないかと思いました。

東北電力

東北電力は火力発電の発電量においてはJERAの次に多いと言われています。
東北電力での発電量は合計223ヶ所で、1669万kWです。そのうち火力発電はたった8ヶ所で1130万kWと全体の7割弱も発電しています。
比較のために提示しておくと、水力発電は209ヶ所と、ほとんどの発電所を水力が占めていますが、発電量は245万kWと全体の15%しか占めていません。

東北電力の2030年までの中長期ビジョン計画には、火力発電に関して

世界最高⽔準の熱効率を目指す上越⽕⼒発電所1号機の着実な開発
推進とともに、環境性や経済効率性の低い経年⽕⼒発電所の休廃⽌を
検討・実施し、さらなる電源の競争⼒の強化や、再⽣可能エネルギー導⼊
拡⼤に伴う需給変動への対応を進める。
ドローンやAI技術を活⽤した設備パトロールの⾃動化など、発電所の運用
高度化・効率化を加速するとともに、他産業への展開も目指す。

https://www.tohoku-epco.co.jp/comp/keiei/vision/01vision.pdf

とありました。熱効率の高い火力発電は開発を推進し、年数が経って熱効率が低い火力発電所は休止や廃止をして再エネにシフトしていくことを明言しています。

再エネ事業に関しては、東北・新潟エリアを中心に200万kWの再生可能エネルギー発電の開発・参画を目指すそうです。現在稼働中の太陽光・地熱発電は4ヶ所ずつ、水力は209ヶ所、バイオマス風力発電は1ヶ所ずつと着々と再エネ事業も数を増やして、脱炭素への取り組みをしているのです。

まとめ

今回は火力発電について調べました。コンバインドサイクル発電は無駄な資源の使い方をしておらず面白いなと個人的に思いました。しかし、この発電方法であってもCO2は排出しているのでいつかは廃れえてしまうのでしょうか?

今回取り上げたJERAはCMでよく「CO2が出ない火を作る」「絶対なんて誰が決めた?」と謳っており、印象的でした。

もしも本当にCO2が出ない火を作ることができれば火力発電であっても生き残る道筋が出てくると思いました。これからどんな風に各々の火力発電事業者が舵を取り脱炭素社会になるのか楽しみです。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまたあしたです!

 

 

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