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【新聞よく見ると載ってる】JEPXってどんな組織や

皆様、こんにちは。前回、新電力が燃料高で経営が苦しいという内容をやりました。そのときにしきりに登場したのがJEPXです。なんとなくこの名前を引用していましたが、いまいちどんな組織なのか知らなかったので調べてみました。ぜひ最後までご覧ください。前回の記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 

概要

JEPXは日本卸電力取引所という名前が正式名称で、Japan Electric Power Exchangeの頭文字を取ってJEPXです。株式会社ではなく一般社団法人であり、日本で唯一の卸電力取引市場を開設・運営する取引所です。

JEPXでは、1日24時間を30分ごとに分割した48コマで入札が実施されます。取引量は1コマあたり50kWh単位で、必要な時間帯において取引を行うことができます。スポット市場と時間前取引の2つがあり、前者は翌日に電気が欲しい場合に用いることができるもっともポピュラーな取引方法です。
後者はスポット市場で調達できなかった電力を、必要な電力分を当日1時間前までに注文ができます。

JEPXでは私達のような一般家庭の消費者や工場とは取引をせず、JEPXの会員になった会社としか取引をしていません。2022年2月15日時点では278社であり、下記画像はその一部です。

http://www.jepx.org/membership/index.html

このような電力小売り事業者はJEPXと取引をして約定をすると、その2営業日後に約定代金を支払わないといけません。また約定代金以外にも、手数料が存在します。2021年2月24日のJEPXが公表した資料によると、スポット取引では0.03 円/kWh(税抜) または 100 万円/月(税抜)の定額制とあります。時間前取引の場合は、直前に注文を出しているので0.1円/kWhという高い手数料が設定されています。

このようにある程度電力を調達するだけでも大変なので、JEPXの会員となるには純資産額が1,000万円以上などといった要件が設けられています。1000万円を下回ると、本市場取引を停止すると明示されています。

http://www.jepx.org/outline/pdf/memb_rules.pdf?timestamp=1645493777874

一般社団法人日本卸電力取引所 取引会員規程

燃料高高騰

前回の記事同様、燃料高が高騰していることで、JEPXから電力を仕入れるときの価格が上がってきています。よって、各社の決算を見るとJEPXの単語がほとんどと言っていいほど見られます。ミツウロコGの場合だと、JEPXから調達する電力コストが膨らみ21年の4月〜12月、純利益が7割減益して10億円となりました。22年3月期の見通し売上高は10%増の2500億円ですが、純利益は93%減の2.4億円となる見通しです。

ヤフーファイナンス ミツウロコ 2/22  11:08時点 株価

東証に上場している中部電力は22年3月期の決算は450億円の赤字でした。従来予想の250億円の黒字から一転して赤字決算だったので、決算発表後初の市場ではマイナス11.5%、114円安の1112円まで急落しました。JEPXの価格上昇が続くことが予想されるため、黒字化は困難を極めるとのことです。

ヤフーファイナンス 中部電力 2/22  11:15時点 株価

先物市場

JEPXは電力自由化の流れのなかで設立され、2003年有限会社中間会社として設立しました。2005年から電力取引を始め、主にスポット市場・先渡市場(先渡定型商品)・掲示板市場の3つでした。

2016年から電力自由化に伴い、新電力が続々と乱立しましたが、前回の記事と上のトピックの通り、新電力はJEPXからの電力に多くが依存しています。寒波などの気象状況や発電所の稼働状況、地政学リスクにより電力供給量が逼迫すると調達価格が上昇するという難点があります。

その点を解決できそうなのが、2019年9月からJPX(株式市場である東証とかを運営している日本取引所グループ)傘下の、東京商品取引所で、電力先物を試験運転し始めたことです。

電力を先物市場で売買することで、安定した価格で電力の供給を受けられます。JEPXの数カ月先のスポット価格を予想して売買値の差額を決済できます。今では3年を待たずして2022年1月、経済産業省より本市場としての認可を受けました。

2020年から2021年を比較すると、先物での売買高は1.8倍となり、取引参加者は2倍の134社、電力量は15億kWhです。先物なので、ある時期の電力価格を固定して買うことができます。もし将来に値上がりしていても、先物を売って損失を相殺できます。仮に値下がりしていても、損した気になりますが、先物を売って安い現物を買えば相殺されます。ゆえに、新電力の多くはこぞって電力先物市場に入って取引をしています。

終わりに

今回はJEPXという取引所について勉強がてら調べてみました。多くの新電力は自前の発電所を持たないので、JEPXからの電力を買っています。決してJEPXが悪いわけではなく、燃料費が高騰したり、円安で輸入費が上がったりするせいで価格が上昇しているだけなので、早くこの状況が良くなることを願うばかりです。東商取引所の電力先物であればある程度安定した値段で取引できるのは良い制度だと思いました。

政府は欧州にLNGの融通をしましたが、今後、ロシアがウクライナに侵攻しようとして、欧州やアメリカが介入してロシアに経済制裁など行ったらどうなるでしょうか。ロシアはLNGなどを欧州に供給する天然ガスパイプラインである、ノルドストリームの栓を締めるかもしれません。INPEXの上田社長は欧州への融通よりも、国内のLNG需要に先に答えたいと積極的ですが、実際に戦闘が起きれば今よりも余計、電力調達が難しくなると思いました。
切に平和を願いますね、合掌。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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