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【名前がなんかカッコいい】レドックスフロー電池とNAS電池とは?

皆様こんにちは。今回は前回の蓄電池の種類などの概要に引き続き、日本での具体的な蓄電池の開発について見ていきたいと思います。前回の記事はこちらからです。⬇

 

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レドックスフロー電池

レドックスフロー電池は前回の蓄電池の記事の中で、その他の項目で記しました。レドックスフロー電池の名前の由来は「還元」を意味するReductionと、「酸化」を意味するOxidationを組み合わせた酸化還元反応、レドックスとフロー電池をつなぎ合わせた名前です。フロー電池のフローは、「キャッシュフロー」という単語でも使われるように「流れ」を意味しています。電解液を流すという電池のイメージからフローが使われています。

レドックスフロー電池住友電気工業が1985年頃から原子力発電の蓄電を目的に開発が始められ、2001年に本格実用2014年頃に世界で初めて大量生産を確立させた蓄電池の種類です。住友電工は既に40件ほどのレドックスフロー電池の納入実績があり、大型の蓄電池の量産技術から、再生可能エネルギーの欠点を補うものとして利用されています。

特徴としては、

  1. 寿命が長い

  2. 柔軟性が高い

  3. 保守管理が簡単

  4. コストが高いです。

レドックスフロー電池に使われているのは主にバナジウムという元素です。それを踏まえて、1の寿命が長いというのは、電気反応において電解質バナジウムイオンの価数の変化だけなので電解液の寿命は半永久的です。セルの部分も20年以上使えるので、実質寿命は20年ということになりかなり長いと言えます。ちなみにバナジウムの電解液が半永久的に使えるので、環境にも優しいと言えます。

2の柔軟性が高いというのは、容量を調整できる電解液タンクと出力を調整できるセル部が分離可能なので、設置場所や用途に応じた設計ができます。容量と出力が独立で生産できるのは柔軟度が高いですね。

3の保守管理が簡単というのは、電解液の電位を測定するだけで充電状態をモニター調査することができ、運転中であっても把握可能です。バナジウムは高い安全性があり、常温で保存ができ、不燃性や難燃材料なため火災のリスクが限りなく低いです。

4は課題の一つですが、コストが高いことです。原材料のバナジウムが高騰していることもあり、レドックスフロー電池を作るだけで多くの費用がかかります。まだ有名な電池ではないこともあり、コストを下げるにはもう少し時間がかかりそうです。電解液に使われるバナジウムが全体のコストの25%、電解液の加工コストが19%、電極などの主要部材が20%などで、バナジウム関連の部品だけで45%近くも占めていることが分かります。

住友電工は2017年からオーストラリアのクイーンズランド州にて東京大学と協力し、太陽光発電による水素プロジェクトをはじめました。太陽光発電で余った電力はレドックスフロー電池に蓄電していくようです。蓄電をすることが目的ではなく、太陽光で発電した電力を使って、海水から水素を作り出すことが目的で、2025年には大阪万博に合わせて日本へ輸出するそうです。

日本ガイシ

日本ガイシレドックスフロー電池ではなくNAS電池の開発に積極的です。NAS電池はナトリウム硫黄電池のことで、負極にナトリウム、正極に硫黄が使われていることに由来します。セパレーターにはセラミックが使われ、固体電解質を使って硫黄とナトリウムイオンの化学反応を起こします。この化学反応が行われることで充放電がなされるような仕組みになっています。

日本ガイシは既にナトリウム硫黄電池を約60kW分の販売実績があり、国内外の工場のバックアップ用電源として納入されています。一つのコンテナで200kwが出力可能で、コンテナを重ねたり並べることで省スペースとなり大規模化が実現できます。

原材料はナトリウムと硫黄という日常に豊富に溢れているものなので資源不足を心配する必要はなく、15〜20年間という長い寿命が期待されています。

日本ガイシは2020年7月に北海道電力から数十億円規模のナトリウム硫黄電池を受注しました。売上高は足元の数十億円から2030年には数百円規模に引き上げる見通しです。

終わりに

今回はレドックスフロー電池NAS電池について見てきました。普段聞き慣れない電池ですが、今後用途に合わせた電池としていろいろなところで聞くようになるかもしれません。どちらもコンテナ型で作っており、前回のファーウェイの大型蓄電池もコンテナ型でした。コンテナ型の蓄電池で大規模に開発するとなると広い敷地が必要になるデメリットも頭に入れておく必要がありそうですね。また、バナジウムの原産国は1位ブラジル23%、2位ロシア22%、3位中国17%でした。トップ3のうち日本的に不安な国が2つも入っており、ロシアは目下で戦争中の国です。もしかしたらバナジウムの入手も困難になりもっと高騰するかもしれませんね。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です!

 

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