株式会社MIYAVI

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【日本企業も奮闘】EVワイヤレス充電に取り組む企業

皆様、こんにちは。前回に引き続き、EVのワイヤレス技術についてです。前回は仕組みの話など理科っぽくなってしまいましたが、今回は具体的な企業活動を覗いていこうと思います。日本の企業も奮闘しているのでぜひ最後までご覧ください。前回の記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 

エレクトレオン・ワイヤレス

名前にワイヤレスが入っていまして、EVのワイヤレス充電化に相当な意気込みを感じますね。エレクトレオン・ワイヤレスはイスラエルのスタートアップ企業で、走りながら充電するEVの未来像のために奮闘しています。
ちなみに前回の記事で紹介した磁界結合方式、磁界共鳴方式はいずれも「静止充電」というカテゴリーになり、走りながら充電するのではなく車も休めて蓄電池に充電する方式です。
今取り上げているエレクトレオン・ワイヤレスは「走行充電」に特化しているので、磁界結合方式などではなく、電界結合方式を利用しています。

さて、エレクトレオン・ワイヤレスは、「走行充電」の実証実験を、テルアビブ大学とその最寄駅を結ぶ公道としました。ここはシャトルバスが通っており、Dan Bus CompanyのEVバスを実証実験に使用しました。全長2kmの公道のうち600mの地中に送電コイルを敷設し2021年1月に実験を開始しました。

グローバルパートナーは60社おり、同様のプロジェクトはスウェーデン、ドイツ、イタリアなどの国で合計7プロジェクトを推進しており、自動車業界とのコラボは7社とコラボしています。

エレクトレオン・ワイヤレスの説明資料によると5つの機器で主に成り立っているようです。

1.Management Unit
画像右側の地上に出ている白い箱のことです。ここで電力の調整などの管理を行えるようです。
2.Under-ground Management Unit
1と同様に少し複雑な管理をする場合に使われるようです。地上にはなく、地下に設置しています。

3.Roadway Infrastructure
これが大本命の電極板ですね。前回の記事内で電極をアスファルトの中に入れるのは時間も掛かるし労力もかかり大変なんじゃないかと意見を述べましたが、思ったより簡単なのかもしれない、とエレクトレオン・ワイヤレスのHPを見て思いました。

上の画像を見ていただければ分かりますが、電極板を地表に埋める時には、アスファルトを剥がすのは数十cmですし、電極板は全て結合された状態でトラックに乗っており、それを順番に降ろしていくだけなのでものすごい労力がかかるというわけでもなさそうですね。

アスファルトを剥がすときもドリルで亀裂を入れて、ショベルカーで剥がしていくだけですし、アスファルトを流し込んでからも巨大なローラー車で整地すれば比較的簡単に、工期も短くて済むかもしれませんね。

これであれば、今後世界にも広がっていく方式になるのかもしれません。ただ、世界のすべての道路にこの技術を導入するとなると、莫大なお金がかかり、また話が変わってきそうですから主要な幹線道路を中心に導入するのが良さそうですね。

4.Vehicle Receivers
これはトラックの腹の部分に装着してある受電部ですね。これが装着してある車と電界結合を起こして充電されます。一般のガソリン車や歩行者、自転車などにはレシーバーがついていないので、電界結合は起きませんし、感電することもありません。

5.Real Time Management System
画像の右上にあるように、リアルタイムで管理するクラウドシステムが構築されており、異常や運行状況をエレクトレオン・ワイヤレスが逐一確認できるようになっています。

パワーウェーブ

パワーウェーブは豊橋技術科学大学発のスタートアップ企業で、日本では「走行充電」の研究・開発においては草分けの存在です。2021年3月に創業した会社ですが、ベンチャーキャピタルからも資金調達ができるほど期待値が高い取り組みを行っています。

2022年2月23日 日経電子版

社長の阿部晋士氏は豊橋技科大学の特任教授を努めており、師事している大平孝名誉教授の研究成果を実用化しようと、㈱パワーウェーブを大学初ベンチャー第三号として立ち上げました。

2022年2月23日 日経電子版

イスラエルのエレクトレオン・ワイヤレスと同様に、地中に送電側の電極板を埋め込み、EVに受電用の電極板を装着し、その上を充電することなく走行するというもので、大学の敷地内にその走行ルートを作って実験をしています。やはり、電池の分だけ軽くなり航続距離が伸びやすいといいます。

阿部社長は全ての道路に電極板を入れなくても、充電ポイントを設ければケーブルを差し込む手間が省けるし、そこと協調していけばワイヤレス充電がもっと広がるといいます。

まずは、道路に導入すると言うよりは、工場内を走る搬送機械向けに提供していくそうです。実はデンソーの工場内を走る無人搬送車で実用化された実績がすでにあり、このようにして収入を現時点では得ているといいます。
他にも大成建設がすすめる電動キックボードの実証実験でも、設計を担当するなど収益はまかなえているそうです。

2022年2月23日 日経電子版

将来的には無線給電で、青森から下関まで日本縦断する計画があるといい、高速道路などを中心に整備を10年を目処にすすめていくとのことです。詳しい日経電子版の記事は⬇です。

電池不要のEV、道路から送電 大学発の新技術普及探る 電気自動車(EV)の導入拡大の動きが相次ぐ中、課題となっているのが充電インフラだ。蓄電池の使用量や充電時間を減らすため、電 www.nikkei.com  

静止充電の企業

ワイトリシティ

ワイトリシティはアメリカのスタートアップ企業で三菱商事から出資を受けている会社です。ここでは磁界結合方方式の静止充電パッドを採用しており、中国では中国の標準企画に採用されています。韓国の現代自動車の高級車「ジェネシス」でも採用され、ドイツのBMW「530e」でも採用されています。

モメンタム・ダイナミクス

こちらもアメリカ発のスタートアップ企業で、ボルボから出資を受けています。ワシントン州の公共交通機関リンクトランジット、完全EVの路線バス向けワイヤレス充電を開発しています。

イーズリンク

こちらはオーストリア発の企業で、接触充電システムであるコンダクティブ充電を完全自動化させています。完全自動化なので実質これも外に出て充電口に差し込むことなどしなくても大丈夫です。中国のNEVCとも連携を取り、開発・導入を進めています。

まとめ

今回は主に走行充電と静止充電に取り組んでいるそれぞれの企業を見てきました。エレクトレオン・ワイヤレスでは多くの国で実証実験を始めており、イスラエルよりもスウェーデンでの実証実験が進んでいるようで、実用化は脱炭素にも積極的なスウェーデンでの導入が早いようです。

充電スタンドだけがEV充電の答えではないのかもしれないと思わせてくれるような企業の取り組みでした。日本初のパワーウェーブも今後大きくなって、資金調達が必要な事業の面からも上場を視野に入れているそうです。これからも見届けていきたいと思いました。
最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です!

 

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