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【日本は火山大国🌋】地熱発電は1本掘ると5億円&工期は15年もかかる!

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皆様こんにちは。今回は地熱発電について調べてみました。個人的には再生可能エネルギーの中では地熱発電が一番馴染みが浅い発電で、どんなふうに行われているのか仕組みまで分からない発電方法でした。詳しく調べてみたのでぜひ最後までご覧ください。前回のバイオマス発電の記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 

概要

地熱発電は火山周辺に作られます。それは火山の地熱を利用するからで、地熱は火山の地下深くに対流しているマグマの熱を由来とします。
地熱発電はマグマの熱を利用して発電しているのではなく、マグマの熱によって熱せられた水が水蒸気になって、その水蒸気の勢いを使ってタービンを回して発電しています。

地下水というのは雨が降って土壌に染み込むとある程度までは地下へと地下へと進んでいきます。しかし粘土層や岩盤といった水を通さない位置に来るとそれ以上水が染み込まなくなります。それ以降は山を下っていき貯留層に溜まったり、あるいは地上に出てくると湧水となります。

貯留層に溜まったものはマグマ熱で熱せられ、高温となります。そこを利用するのが地熱発電となります。距離としては地下5000メートルという非常に深い場所になります。

方式

発電方式はフラッシュ方式とバイナリー方式に大別できます。フラッシュ方式はシングルフラッシュ方式、ダブルフラッシュ方式、ドライスチーム方式の3つに分かれます。

フラッシュ方式とバイナリー方式の特徴は以下の通りです⬇

2021.10.11 日経電子版

フラッシュ方式は発電効率が良く、発電容量が大きいです。
バイナリー方式は環境負荷が低く、小回りがきいて開発がしやすいという特徴があります。

日本はフラッシュ方式において世界で7割のシェアを獲得しています。東芝三菱重工業富士電機などです。ちょうど一年前、住友商事ニュージーランドで200億円の地熱発電事業と建設請負を受注したというニュースがありました(2021.2.4日経新聞)。その時も富士電機の蒸気タービンを納入していました。

ただ脱炭素の声が高まる現在においては、フラッシュ方式よりも環境負荷の低いバイナリー方式が世界的に好まれる傾向があります。バイナリー方式での世界シェアを見ると日本はほとんど獲得できていません。

バイナリー方式分野においては圧倒的なアメリカ優勢で、アメリカが8割を占めています。米オートマット・テクノロジーや、米TASなどです。また環境意識の高い欧州ではイタリアのエクセルギーもまたバイナリー方式でのシェアを獲得しています。

メリット

次にメリットについてまとめていきます。メリットについては以下の通りです。

  1.  天候に左右されない

  2.  24時間稼働できる

  3.  蒸気、熱水の再利用ができる

1つ目は、太陽光発電風力発電とは違い地熱を利用しているので雨が降っていても関係ないですし、仮に雪が降っていてもマグマ熱には勝てません。この点はバイオマス発電との共通点ですね。

2つ目は、マグマの地熱は常に活発化しており、天候に左右されないので24時間稼働できます。天候に左右されず24時間稼働しているということは当然稼働率も上がります。太陽光発電風力発電稼働率が1〜2割に対して地熱発電は7割を超えます。こう見ると発電量としてはかなり増えますね。

3つ目は、蒸気でタービンを回したあとに蒸気や熱水が排水管をつたって街に運ばせます。街に届いた蒸気や熱水は野菜を育てる温室ハウスなどに利用されています。

再利用方法

・再利用の方法として少し触れたように、温室ハウスで使っています。
北海道電力が運営している地熱発電では、温室ハウス内で夏野菜であるキュウリやトマトを栽培しています。季節を問わず夏野菜が安定供給できることは価格も引き下げられる要因にもなり地域経済が活性化できます。

・他には「地熱染め」と言われるものです。
地熱染めとは東北電力が運営している地熱発電第一号の松川地熱発電所近くで行われているものです。
地熱発電で使われる蒸気にある脱色作用を利用して独特な風合いを出すものだそうです。地熱染め体験など修学旅行生が多く訪れ、これもまた地域にお金が落とされています。

2021.12.28 日経電子版

デメリット

デメリットに関しては以下の3つです。

  1. コスト面

  2. 住民反対

  3. 法規制

1つ目はコストが高いことです。概要の面でも説明したように地下5000メートルを掘削するので掘削コストが高く、一本5億円掛かると言われています。

他のコストが高い要因として、掘る場所が山間部に多いことです。ニュージーランドアメリカのように平地にはないため掘削するだけで多大なお金がかかってしまいます。

また、このようにコストが高い上に地熱発電は工期が長く、環境影響評価〜稼働までなんと15年も掛かると言われています。15年間もかかるため、資本のある企業しか参入できず中小企業はまったく歯がたちません。

中小企業が積極的に参入しないとなると大手しかありませんが、大手もなかなか15年間採算が取れない事業に参入もしなくなります。最近、2019年に地熱発電が完成したのですが、実はそれは23年ぶりの発電所建設でした。

20数年間これまで地熱発電を作る事業者がいなかったため、機材や人手が競合し、掘削に知見を持った人がほとんどいなくなってしまいました。
海外の技術者もコロナの影響で来日しづらく、こういった事も重なりコスト増が最大のデメリットとなっています。

2つ目は住民反対ですが、主に温泉事業者です。温泉事業者は近くの地熱で温められた温水を引いて事業を営んでおり、地熱発電と同じようなことを行っています。故に、地熱発電事業が行われると温泉が今まで通り湧かなくなったり、泉質に影響が出るという理由から反対しています。

しかし、結果から言うとほとんどの場合温泉事業者に影響しません。
温泉は地下1000メートルから2000メートルを掘っていますが、地熱発電で使うのは地下5000メートルです。掘っている場所が全く違うため、温泉の質や量には影響しないのです。

また、住民が反対というよりは賛成をあえて選ぶ必要性がないということです。というのも、地熱発電ではほとんど人手を必要としません。従って発電所を建設しても雇用の増大は見込めず、売電収入も地域には落とされず、地域外の事業者に配られるからです。
ですが、メリットの部分でも説明したような蒸気を使った温室ハウスや新たな産業が生まれるかもしれませんので、地域にお金が落とされていくかもしれないと個人的に思いました。

3つ目は法規制です。これまであまり地熱発電事業が活発化されていなかった理由は、法律の問題でもあります。地熱発電に適した火山は多くが国立公園や国定公園であることが多いです。自然公園法では地熱開発は「原則認めない」との文言がありました。

ところが、2021年9月に「原則認めない」という文言が削除されました!
ということで今後多くの地熱発電が開発されていくことが予想されます。

今後とまとめ

今後開発をする企業としては例えば、出光興産、INPEX三井石油開発オリックスなどでしょうか。
出光興産とINPEX三井石油開発は22年に秋田県湯沢市で稼働させる地熱発電があります。オリックスは北海道函館市南茅部地熱発電所をバイナリー方式で稼働させます。
また、大成建設は高温にして超臨界という状態にしたCO2でタービンを回す方法で地熱発電を開発しています。2036年から実用化する予定だそうです。

多くの日本企業が参入した背景には、2011年の東日本大震災がきっかけとしてあります。東日本大震災によって原子力発電所が被災し、電力供給量が減少し、今後のことも見据えて地熱発電にスポットライトがあたりました。

これからも多くの地熱発電事業者が参入して日本の再エネを引っ張っていってほしいと思いました。
ニュージーランド地熱発電など再エネ比率が85%も占めているそうで、2035年には100%を目指すそうです。日本は、火山の多い地帯である環太平洋造山帯に位置するニュージーランドの手法をお手本にすると良いと思いました。

今回はこの辺で失礼します。最後までご覧いただきありがとうございました。ではまた明日です!

 

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