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【自動車業界】ウクライナ侵攻に伴う影響とは?

皆様、こんにちは。今回は前回に引き続きウクライナ問題です。昨日、ロシアの主要銀行は、SWIFTと呼ばれる国際銀行間通信協会から排除されました。この金融制裁はかなり重く、主要銀行は外国との取引で決済ができなくなってしまい、ロシアの経済に多大な影響を受けることとなりました。このことも踏まえて自動車業界を中心にどのような影響があるのか見ていきます。
前回の概要記事はこちらから⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 


自動車業界

住友電工

自動車産業への影響はガソリン車でもEVでも両方に影響が出ています。
住友電気工業は自動車用のワイヤハーネス(組み電線)を作っている工場がウクライナにあり、約6000人の従業員の安全を優先するために工場を数日間停止します。住友電工は新型コロナウィルスが流行り始めてから、供給が不安定になることが予想されていたので、2カ国以上で生産する体制を整えてきました。この対策が功を奏し、ウクライナ情勢になんとか対応できそうです。

ワイヤー

フジクラ

フジクラ住友電工と同じワイヤハーネスをウクライナで生産していますが、こちらも数日間工場を停止します。ウクライナに在住している1300人の従業員は自宅待機を命じられましたが、フジクラもモロッコルーマニアモルドバでも生産しているので、そちらで代替を考えています。

トヨタ

トヨタはロシアの北西の都市、サンクトペテルブルクに生産拠点を持っており、2月26日には部品大手と協力しながら緊急点検をしました。中小の部品企業はサイバー攻撃を受ければ、システムが脆弱なためサーバーがダウンしてしまい、生産に影響が出てしまいます。サーバーがダウンしてもいいように供給網を再点検しました。

トヨタ

ただ、昨日の2月28日にはトヨタの部品工場が何者かによるサイバー攻撃を受け、今日3月1日には国内全工場が停止しました。ロシア工場などのサイバー攻撃対策をしていましたが、今回攻撃を受けたのは愛知県の小島プレスでした。1日生産を停止するだけで1万3000台に影響が出るといいます。
岸田首相は政府としてサイバー攻撃について調査すると発表しており、公式には発表されていませんが、この時期にサイバー攻撃が行われるということはロシアによる攻撃の可能性が高いですよね。

日産と三菱

日産自動車三菱自動車は今の所影響はありませんが、日産はウクライナ西部に生産拠点を持ち、欧州から部品を調達しています。三菱はモスクワ市の南西に欧州ステランティスとの合弁工場があります。今世界の企業では、ロシアとの合弁会社や関連会社を手放す動きがあるため、ロシアに工場がある三菱自動車は今後関係を解消をするかもしれませんね。

日産

ルノーVWボルボ

ルノーはフランスに本拠地がある多国籍自動車メーカーです。ルノーは2月28日から3月5日までの間、ロシアでの生産を一部停止します。ルノーは世界で見ると、フランスの次にロシアで生産を拡大させている大切な市場ですが、サプライチェーンの寸断を理由に停止させます。また、ウクライナ侵攻に対する安全や抗議の意味も含めて停止させていると思われます。

ルノー

VWフォルクスワーゲンで、ドイツに本拠地を持つ自動車メーカーです。VWはドイツに2工場を持っていますが、2つとも工場を停止させます。

ルノーVWは、住友電工フジクラが生産しているウクライナ産のワイヤハーネスなどの供給不足を懸念しており、実際に不足しているので生産ができないという状態が起きています。

フォルクスワーゲン

ボルボは北欧スウェーデンの自動車メーカーですが、ここもロシアの南西部カルーガに生産拠点があり、トラック生産の停止を発表しています。
高級車大手のボルボ・カーは生産停止に加え、ロシア国内での販売・出荷も停止します。ボルボは売上高の3%はロシアで賄っていますが、
「(ロシアとの)取引に伴うリスクを考慮した」と説明しています。

ボルボ・カー

ダイムラートラック

ドイツのダイムラートラックはロシアの装甲車大手カマズとの提携を解消しました。
ダイムラートラックは2021年12月に上場し、旧ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)の連結対象から外れています。カマズはメルセデスが15%出資している状況ですが、先述の通り関係を解消するような動きがあるので、近々株式を売却するかもしれません。

メルセデス・ベンツ

自動車関連

パラジウム

貴金属のパラジウムウクライナ侵攻によるロシアへの制裁強化で影響を受けます。ロシアでの産出量の4割も占めるパラジウムは昨日の先物取引で、8%高の高値を付けました。1トロイオンス2550ドル台を付けており、ウクライナ危機が起きる前と比較すると7割も高い水準となっています。
パラジウムは自動車の排ガス浄化触媒に多く使われており、ガソリン車生産においては不可欠な素材です。

アルミニウム

非鉄のアルミニウムも値段が上がっています。昨日2月28日には4%高となり、2008年7月以来の高値だといいます。アルミニウム生産世界大手のルサールというロシアの企業によると、アルミニウムの値段は1トンあたり3480ドルだったそうです。同じく非鉄のニッケルも2011年以来、11年ぶりに高値を付け、昨日は3%高の1トンあたり25000ドルでした。

アルミは生産時に多大な電力を使うことから有事の際には生産を細める可能性があります。中国を除くとロシアはアルミの生産で世界1位で、世界で5.6%のシェアを持っています。去年は376万トンの生産をしました。
アルミニウムはアルミ飲料缶から自動車など幅広く使われています。環境意識の高まりからEVが取りざたされていますが、EVは軽量化をして航続距離を伸ばすのが必須です。その軽量化に一役買うのが車体に使われるアルミニウムです。今後アルミの供給不安から値段が上がれば、EVの値段が上がってしまうことも必至かもしれません。

まとめ

今回はウクライナ侵攻に伴う自動車産業に対する影響を見てきました。各社ともロシアやウクライナに生産拠点や部品供給網を持っており影響が大きいことがよく分かりました。
トヨタが日本国内でサイバー攻撃を受けたことによる生産停止は驚きでしたが、今後このような攻撃が何者かによって続けばより混乱することとなります。

最近ではアノニマスと呼ばれる世界的なハッカー集団がロシアに宣戦布告するなど、第二次世界大戦とは違った様相を呈してします。ただ、古代から現代までの戦争を見てきて感じる共通点は、武器や兵士の強さではなく情報が多いほうが勝つということです。明治時代の日露戦争では、日本が情報戦を制したため、勝利を収めたとも言え、相手の情報や戦い方などの情報が多いほうが勝つ傾向が高いです。

ウクライナの様子 2月28日 日経電子版

ロシアがSWIFTから排除され銀行間でお金の送金ができないので、ハッカー集団のハクティビストと呼ばれる人たちには、仮想通貨で運営資金が寄付されています。ハクティビストにロシア人がいるかもしれないので、多くは仮想通貨を使ってでの寄付で、実際にベラルーシの鉄道システムがハッキングされています。ロシアやベラルーシにデモという形で抗議すれば拘束されてしまいます。しかしハッキングであれば中枢にダメージを与えられ、足もつかないという特徴があり、この動きがもっと活発化されればと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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