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【売れば売るほど赤字!】新電力は苦しんでいる

皆様、こんにちは。今朝の日経新聞に、新電力で新規契約停止が相次ぐという記事がありました。今回は新電力の経営難について深堀りしてみようと思いました。ぜひ最後までご覧ください。以前書いた新電力や電力自由化の背景についての記事についてはこちら⬇

 

kuborichan.hatenablog.com

 

記事概要

概要としては新電力各社が世界的な燃料高により電力調達費がかさみ、利益が出ないという内容でした。日経新聞では主に4社を取り上げていました。

GPP

GPPはグリーンピープルズパワーとして知られ、2017年に創業しました。
特徴として、
・「電力供給を100%再エネで賄う(現在は80%)」
・「地産地消
・「市民の力」
の3つを掲げています。最後の市民の力とは、この会社は市民による出資で立ち上げられているようで、「東電は使わない」という目標の基、市民の力で電力供給と環境問題などに取り組んでいる会社です。

また、面白いのは再エネ応援ファンドがあることです。再エネ応援ファンドでは、再エネ用の発電所建設費や金融機関からの借入返済の原資として「無利子無担保」で貸すものです。貸すのでGPPに返ってきますが、また別の発電所建設に貸すので、単にお金をぐるぐる回すイメージです。

GPP再エネ応援ファンド | Green People's Power www.greenpeople.co.jp  

つまり、これは投資ファンドではなく、応援ファンドであることが重要です。投資家が出資しても利息や元本返済はなく、出資=GPPへの寄付ということになっています。リターンは発電所が増えて気候変動を食い止めるというものだそうです。どのくらいの支援者がいるのかは分かりませんが、ある意味では利益も一切取らず、本当に地球環境を良くしたいという創業者の思いの表れではないかと思いました。

そんなGPPですが、21年12月期の最終損益は3200万円の赤字だそうです。2017年に創業したてで、数年間赤字続きだったのでそろそろ黒字にしたいとのことだったが、燃料費がどうしても高騰して赤字化してしまいました。
21年2月時点では、再エネは84%で賄っており、JEPXからの調達は15%ほどになっていました。しかし、現在では4割ほどになっており、21年9月からのLNGの価格上昇も作用して電力調達コストが2倍になってしまっています。

売れば売るほど損失が膨らんでいってしまっているので、法人向け高圧電力の新規受付は止めるようで、営業活動も控えている状況が続いています。

ホープ

ホープでの新電力事業は㈱ホープエナジーという会社が運営をしており、従来の電力会社よりも安く電力を供給することで経費削減を支援し、また省エネに関する提案も併せて行い、自治体が抱えるエネルギーの問題をトータルサポートしています。

IR情報 | 株式会社ホープ www.zaigenkakuho.com  

ホープでも損失は顕著で、21年6月時点で69億円の赤字を計上しました。JEPXから26.8円で電力を調達しているのに、顧客には14.9円で提供して、大幅な原価割れを起こしています。21年6月では24億円の債務超過を抱えており、12月末時点では80億円に拡大しています。
24億円の債務超過の原因となったのは、「インバランス料金」という需要電力量に対する不足した電力量に対する「ペナルティ料」みたいなものが65億円も、21年の1月払っていたと説明しています。
せっかく65億円もインバランス料金で払ったのに、今度は燃料費高で80億の債務超過に拡大してしまったというわけです。

ちなみにこの㈱ホープは21年12月から事業を行わない単なる持株会社になっています。
というのも、㈱ホープエナジーを吸収分割して切り離し、新設した広告業など行う㈱ジチタイアドと、㈱ジチタイワークスの2社に継承させたからです。このようにして資金調達を行い、企業価値を高めていくそうです。

サニックス

サニックスという会社でも新電力事業を行っていましたが、電力調達コストが高騰し、一般家庭向けプランの新規受付を停止しました。22年3月期第3四半期の決算では営業利益のマイナス要因として、

エネルギー事業部門における新電力事業において、長期間に渡る市場価格の高騰及び相対調達比率の低下による調達コストの増加

とはっきり明記してあります。

赤字下線で加筆修正

また、上の決算説明画像を見てもらえれば分かる通り、
相対調達価格も上昇し、JEPXからの調達も余儀なくされたことも電力調達費が上昇した要因として書かれています。

右の表の一番右の第4四半期の予想グラフを見ると、電力調達量が増えるに従って、JEPXからの調達量も増えることが示されています。前年同期比と比べてもJEPXの比率が増え、今後もより一層調達コストが増すことが予想できます。

まとめ

今回は日経新聞の朝刊、新電力の話について記事よりももう少し詳しく調べてみました。電力自由化以降700社以上が登録していますが、燃料費高騰で資金繰りが上手くいかず続々と新電力会社が倒産しているそうでした。F-Powerという新電力大手や、パネイル、アンフィニ、フェニックスエナジーが倒産し、新電力事業から撤退する企業も複数あると記事には書かれていました。

やはりLNGの高騰には寒波が襲い電力需要が高まることはもちろん、ロシアとウクライナの緊迫した体制による地政学リスクも関わってくるのです。
安定した燃料供給が行われればよいですが、なかなかうまく行きませんね。そもそもGPPのように電力供給を再エネ100%で達成できる企業が早く多くなれば、このようなことに悩まなくもなりますし、持続可能な脱炭素社会が目指せるのかもしれないと思いました。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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