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【充電プラグ不要時代到来?!】ワイヤレスEV充電技術とは?

皆様、こんにちは。今回はEVのワイヤレス充電技術について見ていきたいと思います。EVが普及しない理由の一つに充電設備の普及がまだなく、ガス欠ならぬ「電欠」の恐れがありEV購入に踏み切れないというのです。近頃は少しづつ日本でも充電スタンドが普及してきました。充電スタンドだけが、EV充電の「解」ではないと考えるスタートアップ企業も多く、事業内容が興味深かったので調べてみました。ぜひ最後までご覧ください。
以前のEV充電の記事はこちらから⬇

 

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概要

EVの充電といえば主流になっているのはガソリンスタンドのように特定の場所に車を停車させて、充電スタンドから電気を受けて蓄電池に充電していくものです。普通充電では3時間以上、急速充電は15分程度で充電が完了します。

充電口はガソリン車の給油口のように車の後方部についているものや、日産リーフのようにボンネットの部分についているものがあります。充電する際にはその充電口に、ケーブルのプラグを差し込み充電します。しかしワイヤレス充電技術では、特に運転者が車外に出てケーブルを差し充電するという作業を省くことができます。

そんなの車外に出てソケットを差すだけか、車外に出ないでソケットを差さないだけかの違いじゃないか!と率直に思いました。ただ、この一動きも面倒くさいのが我々人間なのです(笑)
事実、スマホ充電にはワイヤレス充電器が普及しています。ただ充電器に差し込む簡単な動作だけしかないのに、それをただ円盤状の充電器の上に置くだけの動作に変えました。だから、EVのワイヤレス充電も今後普及していくのでは?と思っています。

磁界結合方式

磁界結合方式はワイヤレス充電の一方法であり、別名電磁誘導方式と呼ばれます。由来はもちろん電磁誘導という原理を使って充電するからです。
電磁誘導は中学の理科の実験でやって覚えているからもいるかと思います。コイルの中に磁石を出し入れして誘導電流を発生させ豆電球を灯すという実験です。

画像引用元https://tohokuseigyo.net/tcs_column_all/tcs_column_motor/%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%83%BC2/

この実験で得られるのは、コイルの周りには磁界は存在しており、磁石を出し入れすることで磁界の乱れを起こしそれが電気として取り出されます。その乱れをより強力にして、より強力な電力を起こすには、コイルの巻数を増やす、磁石を高速で動かす、磁石の磁力を強く変えることです。ちなみに発電機では、磁石の向きがくるくると回転して変わることで電気を起こしています。

ここで話を戻すと、スマホのワイヤレス充電器パッドの中には送電用のコイルが内蔵されており、磁界が発生しています。また、スマホの内部にも受電用のコイルが内蔵されており、磁界が発生しています。充電器パッドとスマホを重ね合わせることで各々の磁界に乱れが生じ、誘導電流がスマホに流れ蓄電池に充電されていきます。

この電磁誘導がEVの充電にも応用できるというのです。EVの先端あたりに受電用コイルを取り付け、充電パッドの近くに停車させれば自動的に充電が始まります。ただ、この磁界結合方式(電磁誘導方式)には欠点があり、送電用コイルと受電用コイルの距離が数cm〜数十cmの間に留めなければなりません。スマホのワイヤレス充電でも、スマホがパッドの中心に置かれていないと上手く充電されていないときがあります。

これを車でやれというのはかなりの運転技術が必要です。送電、受電側の両コイルの位置ずれにシビアな点からは車には不向きであると言われています。したがって主に使われているのは、スマホの充電、電動歯ブラシ、電動シェーバーの充電など位置ずれが生じにくい小型なものです。またワイヤレス給電全般に言えますが、非接触なので漏電や感電の心配がなく、水回りなどに使う電化製品なんかに使われることが多いです。

磁界共鳴方式

磁界共鳴方式は磁界結合方式の仲間で、磁界を共鳴させ合うことで誘導電流を流します。音楽の授業や物理の授業で登場した音叉のように、共鳴させるのです。共鳴方式によって2007年にマサチューセッツ工科大学の研究チームが2メートル離れた60Wの電球を光らせました。

実はEVにはこの方法が最も適していると言われており、磁界共鳴方式はコイルとコイルが数cm〜数mまで離れても誘導電流が流れます。なのでEVであっても、パッドのコイル部分にぴったりと停車させる必要もなくなります。

欠点としては、共振、共鳴をお互いで維持させるために複雑な回路が必要になり構造も重くなってしまったり、大きな電力を流すと発熱しやすくなることです。

電界結合方式

磁界結合方式に対して電界結合方式というのもあります。
磁界結合方式と同様に電界を起こしてそれを結合、接地させることで電流が流れEV内の蓄電池に充電されます。送電側のアクティブ電極、パッシブ電極と受電側のアクティブ電極、パッシブ電極の二組の対をなしており、送電側から高い電圧の電流を流すと、片一方の受電側にも電流を流します。

遠藤哲夫氏、崎原孫周氏の「電界結合方式ワイヤレス給電による 走行中給電技術の開発」という論文によると、電界結合方式の特徴は、

  1. 走行しながら充電できる

  2. 敷設コストが安価

  3. 漏えい電磁界が少ない

  4. 位置ずれに強い

というのがあります。1つ目の走りながら充電できるというのは画期的なことですね。走っていいれば自然と充電され、充電スタンドを探す手間や、電欠の心配もなくなりEVが普及するきっかけになりそうです。
残念ながらまだ実験段階ですが、10年後には広まっている可能性があります。アスファルトの地面の下に電極板を埋め込み、その上を走ったEVが充電されます。トロリーバスや電車がパントグラフを使って電気を得ているようなものが、地下に入ってワイヤレスになったイメージです。

2は意外ですが、設置する時のコストが安いというのです。材料は電極、アスファルト、コンクリートぐらいで、高度な技術が用いられている充電パッドよりも安価だそうです。個人的には今あるアスファルトを全部剥がして電極を入れてまた埋め直してという人件費などのほうが掛かる印象ですが、トータルで見ても安価だそうです。古くなったアスファルトを剥がす工事と一緒にやれば一石二鳥なので、そのようにゆっくりと日本全国に普及していくのかもしれませんね。

3つ目は漏えい電磁界が少ないとのことですが、電極−ホイール間に電界が集中しており、更に電極−ホイール間の距離も短いため、電磁界漏えい量が少なくなると説明しています。つまり無駄になってしまう、放電状態の電磁界が少ないということですね。ちなみに、この道路に埋め込む電極からは放電されているわけではないので、この道路の上を金属の入った靴で歩いても感電はしません。そもそも、仮に電極から放電していればアスファルトやゴム製の車のタイヤは通りませんからね。電界を起こしているので人間にも無害だそうです。

4つ目は磁界結合方式と比べて位置ずれに強いのです。電極と電極の間にある電界を用いていますが、単純に道路の下に設置する電極を巨大にすれば良いからです。またタイヤは常に地面に設置しているので不接触や位置ずれが起きにくいのです。

まとめ

今回はワイヤレスのEV充電方法を見てきました。随分理科的な話になってしまいましたが、充電プラグをEVに差し込まなくても良い技術が開発されているというのは、世界のEV化をどんどん後押ししますね。次回はこのワイヤレス充電に取り組む企業に迫っていきます。
最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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【最先端のつながる車】自動車業界「CASE」とは?

皆様、こんにちは。今回は前回のウクライナ問題からは全然違う自動車業界についてのお話です。自動車業界で昨今言われている「CASE」についてまとめていきます。ぜひ、最後までご覧ください。
自動車関連の記事はこちらから⬇

 

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「CASE」とはこの単語のそれぞれの頭文字をまとめた造語になります。次から具体的にどのようなものなのか具体的に見ていきます。

 

C

C・・・Connected(通信機能)です。「繋がっている」という意味になりますが、車に通信機能を搭載し、車の状態だけでなく社内から外部の様々なデータを収集分析します。いわば車が動くパソコンになっています。

車の通信接続が進み、自動車のネット接続によって車載機器の機能を拡充するだけでなく、自動車の位置情報取得などにも利用されていきます。

このコネクテッドカーをめぐっては、自動車業界の常識が通用しなくなってきているといいます。

というのも、自動車を作る時はトヨタや日産といった自動車メーカーがピラミッドの頂点に立ち、下には部品会社や工場がいました。

しかし、CASEの自動車には、今まで全く取引のなかった、ソニー、シャープ、パナソニックなどIT系の会社の技術を利用します。そうなると、そのシステムの特許料を支払うのが「筋」だとIT会社は考え、特許料を支払うよう大手自動車メーカーに要求しています。

CASE自動車において、フィンランドノキア基地局などの通信インフラを担当し、SHARPは通信開始時の接続技術、米クアルコム半導体関連、米IBMマイクロソフトはAI技術など多くの特許料が必要になってきます。1台15$の特許料で、全ての自動車にかかると計算するとトヨタには180億円の費用が上乗せされます。

A

A・・・Autonomous(自動運転)です。車の自動運転技術はまだ完全に実用化できているわけではなく、もう少し時間がかかる見通しです。いつでもどこでも自動運転ができるようになるには5段階ある基準をすべてクリアしないといけません。日本では2020年4月には「レベル3」の段階まで法制化されています。レベルを具体的な言葉で示すと、

自動運転レベル1は「運転支援」
自動運転レベル2は「部分運転自動化」
自動運転レベル3は「条件付き運転自動化」
自動運転レベル4は「高度運転自動化」
自動運転レベル5は「完全運転自動化」となっています。

高性能なカメラや通信機能を組み合わせて、自動車周辺情報から交通状況を確認して判断することで自動運転が実装されます。
よくSF映画に出てくる全部の車がシステム化されて自動で動く未来が想像されていますが、自動運転が全車に搭載されればそういった未来が現実化しますね。

既に日本の車でも、「サポカー」として馴染みのある衝突防止の警報や自動ブレーキ装置、車線キープのステアリングアシストなど標準装備されているものもあり、その最終形態が自動運転車であるといえます。

中国では2025年までにレベル4に向けた実用化のルール作りが行われています。中国の百度バイドゥ)は北京市上海市広州市、深圳市など主要10都市で自動運転タクシーを展開しはじめました。トヨタが出資している子馬智行(ポニー・エーアイ)も百度同様の自動運転タクシーサービスを開始しています。まだレベル5の完全運転自動化の段階に来ていないので、このサービスでは原則「安全員」と呼ばれる危険を回避するための人員が同乗しています。

S

S・・・Shared&Service(シェアリング&サービス)です。車のシェアという考え方で、自動車の新たな普及につながる可能性があります。サービスの部分はスマートキーや非接触充電器などが該当します。車のシェアはいわば相乗りのようなもので、運転手は自分ではありません。

同じ車を複数人でシェアするのはレンタカーと同じですが、レンタカーは車を運転するのは自分で、行きたい所に自分の意志で自由に行けます。ここで言っている車のシェアは短時間で短距離を気軽に、安価な値段で移動できる手段としてです。自動車は「所有」から「利用」の時代になってきているのです。

私自身、一人暮らしで首都圏に住み、且つ養う家族がいないというのもありますが、移動手段に使うのはもっぱら電車です。週末友人とどこか出かけるときや、ベットや冷蔵庫など重たい買い物をするときに車があれば良いなと思う程度で、現在の所、マイカーを持ちたいという考えはありません。多くても週末だけの利用であれば車を「所有」するよりも「利用」したほうが良いかもしれないですね。

こういった需要は他にも潜在的に多くあると思うので、まずはこういった層をターゲットにしたり、高齢者で免許を返納したが病院に通院しなければならないといけない方をターゲットにすれば良いと思いました。

E

E・・・Electric(電動化)です。これはこのブログ内で何度も取り上げているEVについてです。EVなど二次電池による走行は自動車の本格的なエレクトロニクス機器化を意味し、昨今の脱炭素の潮流から注目を浴びています。日本では日産リーフが電気自動車として先行していましたが、トヨタなどもEV車を投入することを決定し、更にはソニーまでEV事業に乗り出すことを打ち出しています。

そうはいっても、足元では次に車を買うとしたら「ガソリン車だ」と答える人が最も多かったようです。デロイトトーマツグループの調査によると、次に車を買うならガソリン車が40%、HV車が37%、EVはわずか11%にとどまります。日本人はHV車志向が高く、トヨタプリウス、アクア、ホンダのフィット、マツダアクセラなどが有名ですね。

実際街中にも多くHV車は通っており、日本の乗用車販売の4割をHV車が占めているそうです。ここからEV化して脱炭素を加速させていくには、充電設備を充実させ、マンションなどの自宅での充電設備を作っていくことが求められます。

まとめ

今回は自動車業界のCASEについて見てきました。CASEの車は外部とつながることができるのが最大の特徴です。しかし、もしかしたら、CASE車のシステムがハッキングされて、自動運転で対向車に突っ込ませたり、崖から車ごと落とすなんて映画みたいなことも起きるかもしれません。

また、最初のConnected Carの特許料の上乗せで、今後リチウムイオン電池などの値段が下がりにくい状況が続けば、EVの値段は高騰していくのかもしれません。でもカーシェアリングサービスを使えばわざわざ購入して所有しなくても便利に利用できますね。欠点はいくつかありますが、私たちの生活が便利になることは明確なので今後普及していくといいですね。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です。

 

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【エネルギー業界】ウクライナ侵攻に伴う影響とは

皆様、こんにちは。今回は前回と前々回に引き続きウクライナ問題です。
前々回はウクライナの概要について、前回は自動車業界がどんな影響を受けるのかを見てきました。今回は原油天然ガスといったエネルギー分野に焦点を当てて見ていこうと思います。この記事は3/2 09:30時点の日経新聞の情報を参考にしています。
前回の自動車業界関連の記事はこちらから⬇

 

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前々回のウクライナ侵攻の背景に関する記事はこちらから⬇

 

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原油

原油はロシアから多く取れ、1日あたりの原油の生産量で見ると、アメリカ、サウジアラビアについで世界3位です。1日に1154万バレルの生産がされます。

外務省HP https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/crude_much.html

ロシアの代表的な油種である「ウラル」は世界から敬遠され、需要が落ちています。2月下旬と比べ3%以上下落し、国際指標である「北海ブレント」と比較すると1バレルあたり11ドルも差が開いてしまっています。この差は過去最大であると言えます。

2022年2月28日 日経電子版

敬遠しているだけでなく、ロシアがそもそも供給をストップするので、世界の1割の供給量を占めるロシアの原油がなくなると、余計に国際指標の北海ブレントは上昇していきます。原油が上昇すれば、石油や石油由来製品も上昇し、戦争が長引けば家計に負担がかかります。

原油先物が100ドルを超えても、なお日々上昇している
2022年2月28日 日経電子版

石油事業

日本が参加している石油事業も商社を中心にあります。「サハリン1」と呼ばれるアメリカのエクソンモービルが中心となり原油の生産を行っている事業で、主にアジアへ輸出をしています。日本勢もサハリン石油ガス開発という名前で、伊藤忠商事石油資源開発、丸紅、INPEXなどが出資しています。ロシアは国営石油会社のロスネフチが参加しています。

今日の速報で、エクソンモービルはこのサハリン1の事業から撤退すると表明しました。日本でもロシアへの批判が高まれば撤退を余儀なくされると思います。

天然ガス

サハリン1に並ぶ「サハリン2」という事業もあります。サハリン2はイギリスのシェルという石油大手が中心となり、LNGの生産をして主に日本に輸出をしていました。将来的には原油の生産も行う予定でしたが、昨今のロシアのウクライナ侵攻に批判をしてイギリスのシェルが、撤退をしました。
ここにはロシアの国営ガス大手ガスプロムがいたからであり、合弁を解消し、侵攻に関して

「欧州の安全保障を脅かす無意味な軍事侵略行為だ」

とロシアを非難しています。更にシェルはシベリアのサリム油田と、北極圏のギダン半島での開発事業から引き揚げるとのことで、

「私たちは傍観することはできないし、そうするつもりはない」

と強調しました。最大10%出資すると約束していたノルドストリーム2への関与もシェルはやめるという徹底ぶりです。

ちなみに、サハリン2でのLNG生産能力は日本の輸入量の1割強に相当する1000万トンに上り、そのうち500万トンほどをJERAや東京電力が長期契約しています。

軍事侵攻した2/24は急上昇している
2022年2月28日 日経電子版

トタルエナジー

フランスのトタルという石油会社は、ロシアのノバテク、中国の石油天然気集団と共同でLNGプロジェクト「ヤマル」を立ち上げています。2017年から稼働を続けており、主に欧州やアジアに輸出をしています。そんなトタルはロシアでの新規投資はしないと昨日3月1日に表明しました。新規投資しない予定で、ヤマルを解消するとの報道はまだなされていませんが、今日中にもトタルのCEOは、フランスの経済財務大臣と会う予定があるので、国から撤退するよう圧力をかけられるかもしれません。

トタルがノバテクと関係を解消しないのは、19.4%出資しているほとんど関連会社なのです。また、トタルとノバテクはアークティック2という事業も共同で行っており、中国勢、三井物産JOGMEC石油天然ガス・金属鉱物資源機構)が出資しています。

ただ、関連会社並に出資をしているからといって、関係を解消しない理由にはなりません。事実、イギリスのBPは先月2月28日にロシアのロスネフチの株を19.75%の保有分売却しました。ロスネフチはロシア政府が過半数出し、あとの20%弱をBPが持つという構造で、もちろんBPが第2位の株主でした。BPはロスネフチと合弁事業を解消し、事実上のロシアからの撤退をしたので、トタルも批判が高まればノバテクとの合弁事業を解消するかもしれませんね。

その他コモディティ価格のチャート

パラジウムとアルミニウムの高騰に関しては前回の記事で触れましたね。実際のチャートがこのような形になっていました。

2022年2月28日 日経電子版

2022年2月28日 日経電子版

金がなぜ値段が上がっているかと言うと、供給不安というわけではありません。金が安全資産だからです。ウクライナ情勢の不安感や、対ロシア制裁が強化されたことで金に資金が流入し値段が上がりました。ロシアの銀行やロシアにある資産が凍結され、暗号資産(仮想通貨)に資金をいれるのが怖かったりする人が、金に流入させたりしています。足元では1トロイオンス1930ドルを超え、1グラム7847円近辺を推移しています。

2022年2月28日 日経電子版

ウクライナは「欧州の穀倉」とも呼ばれるので、小麦が上がるのは必至でしたね。侵攻の2/24は急激に上昇しています。

2022年2月28日 日経電子版

まとめ

今回はロシアとウクライナ情勢から原油天然ガスについて見てきました。ロシアの原油を世界は敬遠し、合弁会社を解消するのはロシアの主力産業を壊滅化させ、「ジリ貧」に追い込めるかもしれませんが、逆世界もロシア産の原油天然ガスが調達できず、国際価格が上がってしまっています。

それを逆手に取ってプーチン氏は世界に対して強気に出ており、軍事侵攻や、停戦交渉で合意をしないとの姿勢を見せ、ロシアの領土をかつてのように広げようとしています。

各企業はロシア抜きの世界でも供給網が安定するようなサプライチェーンを構築し直す必要があります。今回のロシア・ウクライナショックに限らず、日本は中国が台湾へ侵攻した時という有事があった時のためにも同じような想定をしておく必要がありますし、北朝鮮が軍事攻撃を仕掛けてきた時でも然りです。

日本に限って言えば、戦後80年弱という平和な世界が今崩れかけようとしています。しばしば戦争が起きる時は世界各国が自分の国のことしか考えなくなるようなときに起こります。プーチン氏もロシアの国土拡大や、権益獲得のことばかりに躍起にならず、人命の尊さや相手のことを思いやる心を取り戻してほしいと切に願います。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です。

 

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【自動車業界】ウクライナ侵攻に伴う影響とは?

皆様、こんにちは。今回は前回に引き続きウクライナ問題です。昨日、ロシアの主要銀行は、SWIFTと呼ばれる国際銀行間通信協会から排除されました。この金融制裁はかなり重く、主要銀行は外国との取引で決済ができなくなってしまい、ロシアの経済に多大な影響を受けることとなりました。このことも踏まえて自動車業界を中心にどのような影響があるのか見ていきます。
前回の概要記事はこちらから⬇

 

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自動車業界

住友電工

自動車産業への影響はガソリン車でもEVでも両方に影響が出ています。
住友電気工業は自動車用のワイヤハーネス(組み電線)を作っている工場がウクライナにあり、約6000人の従業員の安全を優先するために工場を数日間停止します。住友電工は新型コロナウィルスが流行り始めてから、供給が不安定になることが予想されていたので、2カ国以上で生産する体制を整えてきました。この対策が功を奏し、ウクライナ情勢になんとか対応できそうです。

ワイヤー

フジクラ

フジクラ住友電工と同じワイヤハーネスをウクライナで生産していますが、こちらも数日間工場を停止します。ウクライナに在住している1300人の従業員は自宅待機を命じられましたが、フジクラもモロッコルーマニアモルドバでも生産しているので、そちらで代替を考えています。

トヨタ

トヨタはロシアの北西の都市、サンクトペテルブルクに生産拠点を持っており、2月26日には部品大手と協力しながら緊急点検をしました。中小の部品企業はサイバー攻撃を受ければ、システムが脆弱なためサーバーがダウンしてしまい、生産に影響が出てしまいます。サーバーがダウンしてもいいように供給網を再点検しました。

トヨタ

ただ、昨日の2月28日にはトヨタの部品工場が何者かによるサイバー攻撃を受け、今日3月1日には国内全工場が停止しました。ロシア工場などのサイバー攻撃対策をしていましたが、今回攻撃を受けたのは愛知県の小島プレスでした。1日生産を停止するだけで1万3000台に影響が出るといいます。
岸田首相は政府としてサイバー攻撃について調査すると発表しており、公式には発表されていませんが、この時期にサイバー攻撃が行われるということはロシアによる攻撃の可能性が高いですよね。

日産と三菱

日産自動車三菱自動車は今の所影響はありませんが、日産はウクライナ西部に生産拠点を持ち、欧州から部品を調達しています。三菱はモスクワ市の南西に欧州ステランティスとの合弁工場があります。今世界の企業では、ロシアとの合弁会社や関連会社を手放す動きがあるため、ロシアに工場がある三菱自動車は今後関係を解消をするかもしれませんね。

日産

ルノーVWボルボ

ルノーはフランスに本拠地がある多国籍自動車メーカーです。ルノーは2月28日から3月5日までの間、ロシアでの生産を一部停止します。ルノーは世界で見ると、フランスの次にロシアで生産を拡大させている大切な市場ですが、サプライチェーンの寸断を理由に停止させます。また、ウクライナ侵攻に対する安全や抗議の意味も含めて停止させていると思われます。

ルノー

VWフォルクスワーゲンで、ドイツに本拠地を持つ自動車メーカーです。VWはドイツに2工場を持っていますが、2つとも工場を停止させます。

ルノーVWは、住友電工フジクラが生産しているウクライナ産のワイヤハーネスなどの供給不足を懸念しており、実際に不足しているので生産ができないという状態が起きています。

フォルクスワーゲン

ボルボは北欧スウェーデンの自動車メーカーですが、ここもロシアの南西部カルーガに生産拠点があり、トラック生産の停止を発表しています。
高級車大手のボルボ・カーは生産停止に加え、ロシア国内での販売・出荷も停止します。ボルボは売上高の3%はロシアで賄っていますが、
「(ロシアとの)取引に伴うリスクを考慮した」と説明しています。

ボルボ・カー

ダイムラートラック

ドイツのダイムラートラックはロシアの装甲車大手カマズとの提携を解消しました。
ダイムラートラックは2021年12月に上場し、旧ダイムラー(現メルセデス・ベンツグループ)の連結対象から外れています。カマズはメルセデスが15%出資している状況ですが、先述の通り関係を解消するような動きがあるので、近々株式を売却するかもしれません。

メルセデス・ベンツ

自動車関連

パラジウム

貴金属のパラジウムウクライナ侵攻によるロシアへの制裁強化で影響を受けます。ロシアでの産出量の4割も占めるパラジウムは昨日の先物取引で、8%高の高値を付けました。1トロイオンス2550ドル台を付けており、ウクライナ危機が起きる前と比較すると7割も高い水準となっています。
パラジウムは自動車の排ガス浄化触媒に多く使われており、ガソリン車生産においては不可欠な素材です。

アルミニウム

非鉄のアルミニウムも値段が上がっています。昨日2月28日には4%高となり、2008年7月以来の高値だといいます。アルミニウム生産世界大手のルサールというロシアの企業によると、アルミニウムの値段は1トンあたり3480ドルだったそうです。同じく非鉄のニッケルも2011年以来、11年ぶりに高値を付け、昨日は3%高の1トンあたり25000ドルでした。

アルミは生産時に多大な電力を使うことから有事の際には生産を細める可能性があります。中国を除くとロシアはアルミの生産で世界1位で、世界で5.6%のシェアを持っています。去年は376万トンの生産をしました。
アルミニウムはアルミ飲料缶から自動車など幅広く使われています。環境意識の高まりからEVが取りざたされていますが、EVは軽量化をして航続距離を伸ばすのが必須です。その軽量化に一役買うのが車体に使われるアルミニウムです。今後アルミの供給不安から値段が上がれば、EVの値段が上がってしまうことも必至かもしれません。

まとめ

今回はウクライナ侵攻に伴う自動車産業に対する影響を見てきました。各社ともロシアやウクライナに生産拠点や部品供給網を持っており影響が大きいことがよく分かりました。
トヨタが日本国内でサイバー攻撃を受けたことによる生産停止は驚きでしたが、今後このような攻撃が何者かによって続けばより混乱することとなります。

最近ではアノニマスと呼ばれる世界的なハッカー集団がロシアに宣戦布告するなど、第二次世界大戦とは違った様相を呈してします。ただ、古代から現代までの戦争を見てきて感じる共通点は、武器や兵士の強さではなく情報が多いほうが勝つということです。明治時代の日露戦争では、日本が情報戦を制したため、勝利を収めたとも言え、相手の情報や戦い方などの情報が多いほうが勝つ傾向が高いです。

ウクライナの様子 2月28日 日経電子版

ロシアがSWIFTから排除され銀行間でお金の送金ができないので、ハッカー集団のハクティビストと呼ばれる人たちには、仮想通貨で運営資金が寄付されています。ハクティビストにロシア人がいるかもしれないので、多くは仮想通貨を使ってでの寄付で、実際にベラルーシの鉄道システムがハッキングされています。ロシアやベラルーシにデモという形で抗議すれば拘束されてしまいます。しかしハッキングであれば中枢にダメージを与えられ、足もつかないという特徴があり、この動きがもっと活発化されればと思います。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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【ウクライナ概要】なぜロシアがウクライナに侵攻した?

皆様、こんにちは。今回は今一番話題のウクライナ情勢に関連した記事を投稿したいと思います。日々刻々と変化するウクライナとロシアの情勢ですが、2月28日16:00時点の情報をもとに、エネルギー業界全体にどのような影響があるのかをまとめていきます。ただ今回は概要的になります。
前回の記事はこちらから⬇

 

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ウクライナに侵攻した背景

ロシアがウクライナに侵攻するきっかけや前提となる背景について、まず確認しましょう。

国家概要

ウクライナは大国ロシアの東側に位置する小麦生産などを中心とする国家です。国旗は上が青空を意味する青、下が小麦畑を意味する黄色の配色をしています。また意外と知られていませんが、ウクライナは欧州地域ではロシアの次に広い国土を持っており、日本の1.6倍もの広さ、60万平方kmを有する大国であります。人口は日本の三分の一ほどの4100万人です。関東1都6県の人口が4300万人ですから、だいたいそれぐらいの規模感です。


首都はかつて存在したキエフ大公国という名前で有名なキエフです。言語はウクライナ語とロシア語です。ウクライナ大統領などは昔はロシア語をよく話していました。ウクライナ東部にはロシア語を第一言語とする人々が多く住んでいます。

東欧国家の一つで、先述の通り東にロシア、北にベラルーシ、西にポーランドスロバキアハンガリー、南はルーマニアクリミア半島があります。

現大統領は第6代ウォロディミル・ゼレンスキー大統領で、俳優やコメディアン出身という面白い経歴を持った人物です。彼は親欧米派で公約にNATO加盟を掲げ当選しました。

政権

これまでの大統領をかいつまんで説明すると、1994年に当選した第2代大統領のクチマ氏は親ロシアでも、親欧米でもなく中立という感じです。EUNATOへの加盟表明をしたと思えばロシアとも経済協力を進めたからです。

2004年になると大統領選挙が開催され、与党のヴィクトル・ヤヌコヴィチ氏の当選が発表されました。彼が大統領になるはずでしたが、不正があったと告発があり、野党支持者が猛反発をしました。首都キエフを中心にストライキや座り込みをして再選挙を求めました。

オレンジ革命 2022年2月26日 日経電子版

再選挙の結果、野党代表で前首相だったはヴィクトル・ユシチェンコ氏が勝ち、第3代大統領の座に就きました。これが俗に言う、オレンジ革命で、世界各国が与党か野党に肩入れをして報道をしました。ユシチェンコ氏はNATO加盟競技の加速を掲げたり、市場経済システムの確率をするなど、資本主義的で西側陣営のような枠組みを作りました。

第4代は結局、第3代大統領選挙で負けたヤヌコヴィチ氏が大統領になりました。彼は親ロシア派で、NATOEUとの非同盟を打ち出しました。2011年に彼が日本に訪れた際は、現上皇陛下から大勲位菊花大綬章を授与されました。
2013年にはEUとの政治・貿易協定への仮調印を済ませましたが、調印はロシアに憚りしませんでした。このことが原因で国内で反政府デモが起き、争乱がおきました。ヤヌコヴィチ氏はこれに対しベルクトという民警部隊を派遣し反乱の収束をしようとしましたが、ベルクトが群衆に向かって攻撃をしたため、ヤヌコヴィチ氏への批判はより高まりました。ウクライナに入れなくなった彼はロシアに亡命し、プーチン氏によって市民権が与えられたと言われています。

NATO加入

そんなウクライナが西側諸国の条約機構であるNATOに加盟すると言い出したのです。そこに待ったをかけたのがロシアで、プーチン大統領はそれを止めるためにあろうことか「軍事侵攻」という手段を使って全力で止めに行きました。

なぜロシアはウクライナNATOに加盟してほしくなかったのでしょうか?
NATOという同盟は北大西洋条約機構ともいい、加盟国が相互に防衛し合う西側諸国の軍事同盟です。代表的な参加国はアメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、イタリア、オランダなど30カ国です。最近になって東側陣営の国だった旧ソ連アルバニア北マケドニアラトビアスロバキアモンテネグロなどが続々とNATOに加盟しだして、東側陣営がどんどん少なくなり西側陣営がロシアの目と鼻の先まで迫ってきました。

ただ、NATOとロシアとの間にはクッションとなるウクライナが間に入っていたため緊張感というのはそれほど高まりませんでした。ロシアからしてもウクライナ旧ソ連の中でも兄弟と思えるほど親しく信頼していました。しかしそんなウクライナもついにNATOに参加するといい出したのです。

裏切られたような気持ちになったプーチン大統領の気持ちは容易に察することができます。また、ウクライナNATOに参加することで、NATOとロシア都の間に緩衝材がなくなるだけでなく、米軍がウクライナの首都キエフに駐在するのです。キエフはロシアの首都モスクワとものすごく近く、東京と福岡間ほどしか離れていません。2014年にロシアが行ったクリミア併合のような暴挙にこれからでることも容易ではなくなってしまいますし、ロシアからするとウクライナNATOに加盟することが許せず、侵攻したという背景になります。

2019年に誕生したウクライナのゼレンスキー政権は親西側陣営派です。それまでの第5代大統領のペトロ・ポロシェンコ大統領は親ロシア派でしたが、その政権が倒れることで急速にNATO加盟に舵が切られました。国民の支持も十分得られ、旧ソ連国がロシアからの脱却を目指し始めた象徴でした。

ウクライナのゼレンスキー大統領

それをよく思わない層も一定数いるのも事実で、それがウクライナ東部、ロシアに国境を接する地域に武装をして駐留しています。彼らがウクライナからの独立を訴え、非公式ながらロシアはそれに手を貸しています。この独立を一方的にロシアが認めたことで、自体は急激に変化し、今回の侵攻に繋がったという背景もあります。

まとめ

今回はロシアがウクライナに侵攻した背景をまとめました。明日になりそうですが、エネルギー問題や金融市場についてまとめていきます。
現在のウクライナ大統領のゼレンスキー氏はコメディアンや俳優出身で国民の支持もあり、しばしば意見を発するのがSNSです。政治家としての経験は浅いですが、親欧米派の彼は国民のために最後まで戦うとの意思を表明し、ロシアに断固としてすきを見せません。
停戦をめぐる協議が今日の午後から続いていますが、どうなるでしょうか。これ以上死者を増やさず平和的解決につながってほしいです。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です!

 

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【名前がなんかカッコいい】レドックスフロー電池とNAS電池とは?

皆様こんにちは。今回は前回の蓄電池の種類などの概要に引き続き、日本での具体的な蓄電池の開発について見ていきたいと思います。前回の記事はこちらからです。⬇

 

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レドックスフロー電池

レドックスフロー電池は前回の蓄電池の記事の中で、その他の項目で記しました。レドックスフロー電池の名前の由来は「還元」を意味するReductionと、「酸化」を意味するOxidationを組み合わせた酸化還元反応、レドックスとフロー電池をつなぎ合わせた名前です。フロー電池のフローは、「キャッシュフロー」という単語でも使われるように「流れ」を意味しています。電解液を流すという電池のイメージからフローが使われています。

レドックスフロー電池住友電気工業が1985年頃から原子力発電の蓄電を目的に開発が始められ、2001年に本格実用2014年頃に世界で初めて大量生産を確立させた蓄電池の種類です。住友電工は既に40件ほどのレドックスフロー電池の納入実績があり、大型の蓄電池の量産技術から、再生可能エネルギーの欠点を補うものとして利用されています。

特徴としては、

  1. 寿命が長い

  2. 柔軟性が高い

  3. 保守管理が簡単

  4. コストが高いです。

レドックスフロー電池に使われているのは主にバナジウムという元素です。それを踏まえて、1の寿命が長いというのは、電気反応において電解質バナジウムイオンの価数の変化だけなので電解液の寿命は半永久的です。セルの部分も20年以上使えるので、実質寿命は20年ということになりかなり長いと言えます。ちなみにバナジウムの電解液が半永久的に使えるので、環境にも優しいと言えます。

2の柔軟性が高いというのは、容量を調整できる電解液タンクと出力を調整できるセル部が分離可能なので、設置場所や用途に応じた設計ができます。容量と出力が独立で生産できるのは柔軟度が高いですね。

3の保守管理が簡単というのは、電解液の電位を測定するだけで充電状態をモニター調査することができ、運転中であっても把握可能です。バナジウムは高い安全性があり、常温で保存ができ、不燃性や難燃材料なため火災のリスクが限りなく低いです。

4は課題の一つですが、コストが高いことです。原材料のバナジウムが高騰していることもあり、レドックスフロー電池を作るだけで多くの費用がかかります。まだ有名な電池ではないこともあり、コストを下げるにはもう少し時間がかかりそうです。電解液に使われるバナジウムが全体のコストの25%、電解液の加工コストが19%、電極などの主要部材が20%などで、バナジウム関連の部品だけで45%近くも占めていることが分かります。

住友電工は2017年からオーストラリアのクイーンズランド州にて東京大学と協力し、太陽光発電による水素プロジェクトをはじめました。太陽光発電で余った電力はレドックスフロー電池に蓄電していくようです。蓄電をすることが目的ではなく、太陽光で発電した電力を使って、海水から水素を作り出すことが目的で、2025年には大阪万博に合わせて日本へ輸出するそうです。

日本ガイシ

日本ガイシレドックスフロー電池ではなくNAS電池の開発に積極的です。NAS電池はナトリウム硫黄電池のことで、負極にナトリウム、正極に硫黄が使われていることに由来します。セパレーターにはセラミックが使われ、固体電解質を使って硫黄とナトリウムイオンの化学反応を起こします。この化学反応が行われることで充放電がなされるような仕組みになっています。

日本ガイシは既にナトリウム硫黄電池を約60kW分の販売実績があり、国内外の工場のバックアップ用電源として納入されています。一つのコンテナで200kwが出力可能で、コンテナを重ねたり並べることで省スペースとなり大規模化が実現できます。

原材料はナトリウムと硫黄という日常に豊富に溢れているものなので資源不足を心配する必要はなく、15〜20年間という長い寿命が期待されています。

日本ガイシは2020年7月に北海道電力から数十億円規模のナトリウム硫黄電池を受注しました。売上高は足元の数十億円から2030年には数百円規模に引き上げる見通しです。

終わりに

今回はレドックスフロー電池NAS電池について見てきました。普段聞き慣れない電池ですが、今後用途に合わせた電池としていろいろなところで聞くようになるかもしれません。どちらもコンテナ型で作っており、前回のファーウェイの大型蓄電池もコンテナ型でした。コンテナ型の蓄電池で大規模に開発するとなると広い敷地が必要になるデメリットも頭に入れておく必要がありそうですね。また、バナジウムの原産国は1位ブラジル23%、2位ロシア22%、3位中国17%でした。トップ3のうち日本的に不安な国が2つも入っており、ロシアは目下で戦争中の国です。もしかしたらバナジウムの入手も困難になりもっと高騰するかもしれませんね。

最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です!

 

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【今さら聞けない】蓄電池ってなに?

皆様、こんにちは。今回は蓄電池のことです。エネルギー部門についていろいろ調べていると、蓄電池の重要性が説かれているのを散見していて、ちゃんと調べてみたいと思い、今回記事にしてみました。前回も静岡市の小中学校80校に蓄電池を設置したとありました。私の出身小学校である有度第一小にも蓄電池がありました。地元が静岡市の方はもしかしたらあるかもしれないですね(笑)
前回の静岡市についての記事はこちらからどうぞ⬇

 

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概要

皆様が毎日スマホを充電していると思うのですが、それは携帯内に電気の充放電を行える蓄電池が内蔵されているからです。携帯用の蓄電池はリチウムイオン電池として有名ですが、他の種類の蓄電池もたくさんあり、様々な用途で使用されています。

蓄電池はなぜ今注目されているかというと、再生可能エネルギーが普及してきましたが、上手く利活用できていないからです。太陽光発電風力発電自然エネルギー由来なため、需給の調整がしづらいのです。

電力需要が低いときに、せっかく発電したのにそれらが、送電線につながれず無駄になってしまうことも多々あります。九州地方では太陽光発電が普及していますが、需要が少ない時には発電を止めています。かといって、電力需要が高いときに太陽光発電のような再エネがいつも不足分を補ってくれるかは不明確です。

そこで蓄電池を使えば、太陽光や風力で発電した電力の中で余ったものは蓄電池に蓄えておき、電力が不足しているときに蓄電池から流すようにすれば、需給の調整に一役買います。そうすることで無駄な電力がなくなり余計に再エネが普及していくきっかけになります。再エネと蓄電池は二人三脚の関係とも言えます。

鉛蓄電池

鉛蓄電池は蓄電池の中で最も古いもので、160年も前に発明されています。
名前の通り陽極、陰極板に鉛が使われています。電解液は希硫酸が入っており、両極板の間で電子のキャッチボールが行われることで電気が充放電がなされます。電子が陽極から陰極に動くと充電、陰極から陽極に動くと放電される仕組みになっています。

原材料の鉛は安価で、高い電力が取り出せることで生産量世界1位の蓄電池となっています。用途としては自動車のエンジン、電気自動車の電力、緊急時のバックアップ電源などとして使われています。

欠点は電解液に硫酸を使用しているので、破損すると火災が起きたり、そもそも液体自体危険性が高いという点と、寿命が短いという欠点があります。鉛蓄電池の充放電は400回程度と言われており、非常に短いです。公立の用意充電の仕方は1日使ったら夜充電する方法だそうです。2、3日使って充電するというやり方だと電池にすごく悪いです。

リチウムイオン電池

リチウムイオン電池鉛蓄電池と基本構造は同じですが、陽極から陰極に移動するのが電子ではなくリチウムイオンという点です。この電池の歴史は浅く、1991年にソニーエナジー・テックが初めて商品化したことが最初のようです。
鉛蓄電池よりも大容量に電力を蓄えることができ、用途はスマホやPCのバッテリー、EVの電力、産業用ロボなどです。寿命は適切に使えば充放電1000回以上に耐えられかつ、鉛蓄電池と比べリチウムイオン電池は急速充電にも対応しています。

しかし、リチウムイオン電池は耐用年数がすぎると膨張して発火しやすいという特徴があります。EVでも発火事故が韓国や中国で報告されていますが、それはリチウムイオン電池に使われる材料のニッケルやコバルトの配合を変えたことが原因なようです。やはり、配合を変えたのは材料費が高騰しているからです。鉛蓄電池と比べると材料費の高さは顕著です。

その他

他にはeneloopとして有名なニッケル水素蓄電池、レドックスフロー電池、アルミニウム空気電池、ナトリウム硫黄電池などなどたくさんの種類があります。これらについてはまた別でまとめたいと思います。

ファーウェイ

ファーウェイ(華為技術)は大型蓄電池の分野で日本に最近進出してきて、3月頃から出荷する見通しです。

蓄電池の種類は、小型でパソコンや携帯電話に使われる民生用、電気自動車やハイブリッド車に使われる車載用、施設などに据え置き、家庭・業務・産業・再エネ併設などに使われる定置用の3種類に分けられる。

このうちファーウェイは最後に紹介した「定置用」の蓄電池を採用しました。コンテナサイズという大型蓄電池の生産をはじめ、一般家庭用の200倍の出力で、2000kWhを発電します。大型の蓄電池ではありますが、実は小型の蓄電池パックを同じく中国の寧徳時代新能源科技(CATL)から購入して、120個を束ねて生産しています。

テスラ

テスラは高砂熱学工業の研究施設に蓄電池を納入しており、22年夏にも北海道千歳市内に納入して、稼働させる予定です。
JREもテスラ製の蓄電池を実証実験で使う予定で、電力大手のJパワーも21年11月にグループ会社で導入しています。その要因は、テスラ製の蓄電池は工事費も含めて5万円で導入できるからです。

まとめ

今回はざっくりと蓄電池についてまとめました。蓄電池と一言で言っても電力需給のミスマッチを解消できる大型蓄電池と、EVや産業で使うバッテリーとしての蓄電池、eneloopのような乾電池型の蓄電池などたくさんの種類があることが分かりました。

今回は日本の企業について見れなかったので明日以降の投稿で日本企業の取り組みに焦点をあてて調べてみたいです。
最後までご覧いただきありがとうございました、ではまた明日です❗

 

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